Q. 神懸る口寄せ文化-物忌み―について

古代のわが国では予兆、吉凶、善悪、予告を知るのに易占、卜占でなく「口寄せ」による神からの神託です。それと合わせて用いられたのが「夢告」です。記紀を見ても神代から歴代古代天皇に至るまで社会生活、政治の在り方を決めるのに、神からの託宣である神託が重用されました。国土平定、都を定める場所、次の天皇を決めることまで「夢告」と言われる夢占いです。特に記紀に掲載の神武天皇の欄には多くの夢占いが出てきます。

その様なことから天皇の側にいる皇后は神懸かりが出来る女性が選ばれました。即ち神懸る口寄せが出来る女性が皇后となられたのです。神武天皇妃が三輪の祝であるヒメタタライスケヨリヒメを始め、シナガタラシヒメ、アメノウズメノミコト、トヨタマヒメ、タマヨリヒメ等、最後の神懸る女帝として皇極天皇がおられる。神を迎える女性、神示を伝える女性、これは、日本だけでなく古代社会では情報、状況を知る貴重な存在でした。

この口寄せ女性は表立つことなく、政治のマツリゴトの裏のマツリを行って陰ながら日本の歴史の裏を動かしてきました。現代でもそれに等しい人がいるのも何千年と変わらない人間の心理なのかも知れません。

神託を述べる神懸る女性は神宮大社、神社の託宣を述べる存在に神格化されます。又、巷では神懸かりを生業とする女性が現代まで存在します。神格された神懸る女性は「物忌み」として、宮司が本殿の祝詞座までしか入れませんが、物忌みの女性は本殿内の神様に伺候従事することが職とされました。この物忌みは神からの託宣を行い、すべての事柄において神からの託宣を許された女性となります。当会ではこの「物忌み神事大祭」を6月2日に行いました。毎年第1日曜日開催。

伯家神道に語り継がれている「天子様は居ながらにしてこの世を知らしめておいでになられる」との言葉が我々に語り継がれています。天皇に神託を述べる口寄せなる物忌みを行っていたのが神祇官に奉仕する御巫、祝部殿の祝女と言われる女性でした。その行法の一部が玉鉾会に伝承されて来ております。高浜清七郎もこの物忌み神事を行っていたらしく、一部の神道教団に指導した形跡を伺う事が出来ます。一説ですが、本田親徳の鎮魂帰神法も親交あった高浜清七郎からの指導を一部習得したもではないかとの説もあります。

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[更新日]  永川辰男

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